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鐘崎の漁師たちの誇りと地元への愛「鐘崎天然ふく」~キリンビールが応援する九州


MAIDE IN KYUSHUのビールメーカーとして

2012年より展開している「世界一の九州をつくろう。」キャンペーンを通じて、これまでキリンビールは九州各地の素晴らしい人、素晴らしい食材に出会ってきた。

その背景には九州の工場で造られるキリンビールの原材料が九州産ビール麦であるという事実がある。キリンビールもまた「MADE IN KYUSHU」の逸品の1つとしての自負があるのだ。

自らが九州産ビールなのだという視点で見た時、同じ九州にはとびきり魅力的な人がいて、本当に美味しい食材がある。
そのことに気がついた今、キリンビールは魅力的な九州の食材を紹介し、地元九州を真剣に応援する活動を始めている。

今、キリンビールが九州の飲食店の皆様へご紹介したいと考える食材の中で、まずその筆頭に挙げられるのが福岡県宗像市の鐘崎港で水揚げされる「鐘崎天然ふく」である。

ふく出漁を控えた漁船でひしめく鐘崎漁港

ふく出漁を控えた漁船でひしめく鐘崎漁港



取扱量日本一の下関の“トラフグ”の1/3は鐘崎のふく

フグと言えば誰しもが思い浮かべるのが下関。事実、フグの取扱量日本一は下関市南風泊(はえどまり)市場である。しかし、その下関は決してフグの産地というわけではない。東京の築地が日本中から水産物が集まる場所であると同じように、下関は山口県内及び九州各県で水揚げされたフグの集積地なのである。
そして、その下関南風泊市場で扱われるふぐの内で最も漁獲量が多いのは実は宗像漁協の鐘崎港のふぐであることを知る人はまだ少ない。
特に下関から出荷される天然のトラフグの約1/3は鐘崎のとらふくが占めている。

そう、鐘崎は日本有数の天然トラフグの産地なのだ。

「天然のとらふくの美味しさは言葉に出来んとです。そりゃぁ美味しいですよ。ですから、鐘崎のふくをアピールすることで食べる機会を増やしたい欲しいと思っています」

ふくを獲り続けて40年。宗像漁業協同組合・中村忠彦組合長

ふくを獲り続けて40年。宗像漁業協同組合・中村忠彦組合長



そう語る宗像漁業協同組合の中村忠彦組合長はふく漁をして40年。鐘崎のふく漁は中村組合長それよりはるか以前から続く伝統的な漁である。

「もうずっと昔からですけん、いつからとは分からんですと。昔は台湾近くまで2昼夜3昼夜かけてふくを獲りに行っていました。その頃は山口県の萩の方からも多くの船が出漁していましたが、年が経つにつれ中国や韓国の船が増えると同時に日本の船は近海のみの操業となり、山口の方では後継者不足などから船が減り、今は下関で扱うふくの量は鐘崎が一番になったとです」

そのような状況の中、宗像漁協には3つの悩みがあった。

先ずはふくの消費量そのものが日本全体で伸び悩んでいること。特に天然とらふくは今も昔も高級食材の華として扱われているが、バブル崩壊以後の国内の消費全般の伸び悩みに合わせ、接待関係で料亭などが使われることが減ったことと養殖物の台頭で需要は頭打ちになっているのが現状である。

2つ目は漁場の資源保護。

水揚げされたふくはふぐ処理士の資格を持ったスタッフにより“見欠き”処理をされる

水揚げされたふくはふぐ処理士の資格を持ったスタッフにより“見欠き”処理をされる



鐘崎港に水揚げされるふくは天然ものであるだけに乱獲にならないよう出漁日の自主規制を行いつつ、組合員同士で必要以上の競争が起きないようくじ引きで最初の漁場を決め、漁期内で漁場をローテーションすることで公平な漁が出来るよう配慮している。

しかし、何よりも鐘崎の漁師には昔から天然とらふくの漁を行ってきた誇りがある。
下関にふくを送ると、その時点でそのふくは「下関のふく」になってします。
そうではなく自分達が獲ったふくを「鐘崎のふく」として胸を張りたい。

そのようなふくを取り巻く状況と、ふくに対する想いから宗像漁協は宗像市および地元観光協会と連携しながら「鐘崎天然ふく」「鐘崎天然とらふく」のブランド化に取り組み始めている。
ブランド化にあたり特筆すべき動きは、先ずはふくの加工場の設置と、“凍眠”と呼ばれるアルコールを使った急速冷凍のシステムの導入であろう。

これは飲食店に対し漁協の方が事前に“見欠き”(みがき・フグの除毒作業のこと)をふぐ処理士の資格を持っている職員が行うことで安全なフグの下処理をした状態での直売を行うための取り組みである。

天然ものの風味を壊すことなく冷凍させるアルコール冷凍“凍眠”

天然ものの風味を壊すことなく冷凍させるアルコール冷凍“凍眠”



さらに「鐘崎天然とらふく」は活魚のまま出荷することが殆どであるが、「鐘崎天然ふく」として扱っている“かなとふく(しろさばふぐ)”と“しまふく”は、見欠き後に真空パックを施した上でアルコールに浸した状態で急速冷凍する“凍眠”を行うことで、冷凍物であっても刺身にも出来るほどの鮮度の高い品質を維持すると同時に、冷凍ストックを作り年間を通じての供給が出来る体制を作ろうとしている。

そして、もちろん「鐘崎天然とらふく」も「鐘崎天然ふく」も漁協との直接取引が可能である。

それに合わせて地元観光協会とも連携しながら「鐘崎天然とらふくフェア」と題した一連のキャンペーンを展開。東京でのイベントを実施し、さらに地元の飲食店・旅館と連動したPR活動を行い「鐘崎=ふく」というイメージ作りを行っている。

その活動の背景には玄海の荒波にもまれながら長年ふく漁を続けてきた漁師達のプライドと、地元の人達の「宗像を自分達が誇れる場所にしたい」という想いが詰まっている。

 

宗像に広がる想いの共鳴~「御宿はなわらび」

その地元の愛を感じさせるとらふく料理を提供しているのが、宗像市「御宿はなわらび」である。

「とらふく御膳」(3900円)とらふく刺し・ふくちり・ふくの唐揚と盛り沢山でこのお値段。

「とらふく御膳」(3900円)とらふく刺し・ふくちり・ふくの唐揚と盛り沢山でこのお値段。



12年前より鐘崎漁港からほど近い宗像市江口の地で常設のお食事処と宿泊の出来る離れを構える「はなわらび」では、地元の魚に拘り続け鐘崎のふくの漁期の間は天然とらふくを使った“とらふく御膳”を3900円(税別)で提供している。

驚くのはその価格。地元とは言え天然トラフグを使いながら、とらふぐ刺し・ふく唐揚・ふくちりと、ふく料理の美味しさを満喫できる内容で3900円は「安い!」の一言である。

「食材はとことんこだわります。鐘崎漁港の魚はもちろん、鮮魚は全て朝4時に起きて市場に直接仕入れに行きます」
そう語るのはチーフの小林大二さん。
とらふく御膳の現在の価格は、“鐘崎天然とらふくフェア”に協賛してのものではあるが、元々それ以前から試行錯誤しながら地元鐘崎のとらふくをもっと多くの人に提供したいという想いから提供し続けてきたメニューでもある。

「はなわらび」のお客様は東京や関西からのお客様も多い。

「御宿はなわらび」チーフ小林大二さん

「御宿はなわらび」チーフ小林大二さん



その中でも目立つのが、地元に住むおじいちゃんやおばあちゃんの元に県外へ出てしまった家族が帰省した時に一緒に食事をするというシチュエーション。
「地元に帰ってきたからこそ地元の美味しい料理を食べさせたい」と考えるおじいちゃんおばあちゃんの気持ちと、「せっかくだからおじいちゃん達にも御馳走を食べてもらいたい」という帰省した家族の気持ちが重なり合う、そんな料理が「はなわらび」では提供されているのだ。

そして、「夏は鐘崎で揚がるイカ、冬は『鐘崎天然とらふく』をウリにしていますが、お客様の多いのは冬の方です」という小林さんの言葉通りに、冬の「鐘崎天然とらふく」を楽しみにしているお客様も多い。

「今やっていることをもっと質を上げ、正直な仕事をすることがリピーターを作ることに繋がると思っています。宗像にあるからこそ宗像の食材を活かした料理をもっとお客様に提供して行きたいです。もちろん来年もふく御膳はやりますよ」

小林さんはそう語ってこれからも地元宗像と「鐘崎天然とらふく」を応援する気持ちを表現してくれた。

 

九州の食材で作る中華料理~「中国菜館福新楼」

地元に対する郷土愛を表現しているのは日本食・和食の世界だけではない。

「醋烹魚片・白身魚の切り身甘酢あんかけ」(1550円)。素材を活かす味付けのバランスが絶妙。

「醋烹魚片・白身魚の切り身甘酢あんかけ」(1550円)。素材を活かす味付けのバランスが絶妙。



博多に根差して110年。博多で最初にオープンした中華料理店、福岡市中央区今泉の「中国菜館 福新楼」

その「福新楼」の地元九州の食材に対する気持ちを社長室長の張端宏(ちょう たんこう)氏は次のように語ってくれた

「本来の中華料理の考え方は、先ず食材はその土地で手に入る物を使い、それを中華鍋、中華包丁などに代表される中華料理の調理器具と調理技法で調理するというものです。
ですので『福新楼』でご提供している料理の殆どは九州の食材を使ったものなのです」
そう語る氏の表情には博多で110年の歴史を刻んだ同店の「九州の中華料理」というスタイルに対する自身と誇りが垣間見える。

そんな「福新楼」では、グランドメニューに仕入食材の一覧を掲載しており、現在、「かなとふく」に関しては、年間を通じて供給が安定しないため、一部他地域産も使用と表記している。

だからこそ1年を通じて「鐘崎天然ふく」を供給しようとしている宗像漁協の取り組みは、

「中国菜館 福新楼」社長室長・張端宏氏と同店料理長・王和雄氏

「中国菜館 福新楼」社長室長・張端宏氏と同店料理長・王和雄氏



同店にとって非常に意味のある動きとなっている。

この冬から「福新楼」では「鐘崎天然ふく」の“かなとふく”を、同店のメニュー「醋烹魚片・白身魚の切り身甘酢あんかけ」(1550円(税別))に使っている。
「以前は、安定して入る九州産の白身魚自体が無かったので、他地域や海外産を使用していました。そんな中で福岡県が主催した地産地消のイベントで鐘崎のふぐのことを知って『これは!』と思っていたところ、キリンビールの営業の方が仲介して下さって使うようになりました。」
そう同店の料理長・王和雄氏は「醋烹魚片」に「鐘崎天然ふく」を使うに至った経緯を語ってくれた。

さらに続けて「味はやはり他とは比べ物になりませんよ。お客様の評判も良いです」とも。
事実、同店の「醋烹魚片」は柔らかな甘酸っぱさの後に来るふくの白身の繊細な味わいが楽しめる逸品。白身魚の風味と甘酢味のバランスが絶妙だ。

そのバランスの中に、同店のこだわりと110年の歴史が垣間見える。

 

九州への愛を持った人達を応援します!!

キリンビールが出会った九州の素晴らしい食材である「鐘崎天然とらふく」。

その背景には厳冬期の玄界灘で厳しい漁をする宗像の漁師達の誇りと思いがある。
そこで獲れた「鐘崎天然ふく」をより多くの人達へ届けようと知恵を絞る宗像の人達の情熱がある。
そして、その誇りと情熱を受けて「鐘崎天然ふく」を極上の料理にしてお客様に提供する飲食店の皆様がいる。

キリンビールは、今、その全ての人達の想いを受けて「鐘崎天然とらふく」を応援している。

それは、九州産大麦を原料にしたビールを造る“MADE IN KYUSHU”のメーカーとして。
何よりも九州を愛するビールメーカーとして。

これからもキリンビールは九州の素晴らしい食材、魅力的な人達、そして九州への愛を持った人達を応援したいと考えている。
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取材協力店データ

NAME:御宿 はなわらび
ADRESS:福岡県宗像市江口518-1 九州自動車道 古賀IC、または若宮ICより約30分
PHONE:0940-62-0107
HP:http://hanawarabi.net/

NAME:中国菜館 福新楼
ADRESS:福岡県福岡県福岡市 中央区今泉1丁目17-8
PHONE:092-771-3141
HP:http://www.fuxinlou.co.jp/

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