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【ニューオープン】薬院 唄う稲穂~うどん居酒屋を次のステージへ。うどんでミシュランの星を狙う。


 

サブ1

 

10月16日にオープンした福岡市中央区薬院一丁目のうどん居酒屋「唄う稲穂」。

ともすればカラオケ喫茶のようなネーミングは大将である岡崎健一郎氏の諧謔の中から生まれている。
「ちょっとインパクトのあるネーミングが欲しかったんです。普通の名前にしていたら埋もれてしまうでしょう?だからあえてこういう名前にしました。合わせて“唄う”という言葉には『うどんが口の中で唄う』という意味を込めています。当店のうどんは“唄う”うどんなのです」

唄うという言葉が冠せられた「唄う稲穂」のうどんは、確かに他の店とは違う。糸島産の小麦にこだわって手打ちされたうどんは艶やかな肌で見る人の食欲をそそり、口に近付けると粉の香りがふわっと漂い、さらに噛みしだくとむっちりとした食感とどっしりとした腰が歯茎に官能を伝える。
そこには岡崎大将が人生を掛けて探求してきたうどんの美味さが詰め込まれている。

岡崎健一郎氏がうどんの虜になったのは26歳の時。それまで飲食店の仕事をしてきた中で自分が打ち込めるものを探してきた。その中で「うどんは良いかもしれない」と感じた岡崎氏は本場のうどんを習得すべく単身香川に乗り込み2年間修業。その後福岡市早良区野芥に現在の店の前身となる「唄う手打ちうどん稲穂」をオープンさせ自身のうどんに磨きをかける。

実はこの「唄う手打ちうどん稲穂」でうどんを岡崎氏から学んだ1人が、現在薬院の人気店である「二○加屋長介」の玉置康起氏である。

その野芥の「稲穂」は2011年に閉店し、岡崎氏自身は「うどんでミシュランの星を取りたい」と東京へ。六本木の「はし田本店」に勤務した後、再び福岡へ帰った際にかつて「グリル ド しんちゃん」で働いたこともある(株)なか尾の中尾慎一郎氏と偶然再会。
新店舗を企画していた中尾氏と意気投合することで生まれたのがうどん居酒屋「唄う稲穂」。

福岡屈指のうどん職人である岡崎氏のうどんにかける情熱と、福岡を代表する居酒屋経営者の1人である中尾氏が出会い、その2人のノウハウが結実した店。
それが「唄う稲穂」なのだ。

(画像左)大将・岡崎健一郎氏渾身のうどん。糸島産地粉100%。画像は「しょうゆうどん」(並500円 小400円)(画像中)(うどんを切る岡崎氏。製造工程の全てに岡崎氏のこだわりが詰め込まれ艶やかなうどんが生まれる。画像右)大将・岡崎健一郎氏渾身のうどん。糸島産地粉100%。画像は「しょうゆうどん」(並500円 小400円)

(画像左)大将・岡崎健一郎氏(画像中)うどんを切る岡崎氏。製造工程の全てに岡崎氏のこだわりが詰め込まれ艶やかなうどんが生まれる。(画像右)大将・岡崎健一郎氏渾身のうどん。糸島産地粉100%。画像は「しょうゆうどん」(並500円 小400円)



 


サブ2

 

「唄う稲穂」を運営するのは(株)なか尾。代表の中尾慎一郎氏の店舗展開の定石は、先ずは物件を押さえることから始まる。
これまで西中洲「なか尾」も春吉「もつ鍋一慶」も家賃の安い物件を押さえることを最優先に出店してきているが、今回も2014年5月に出てきた物件を購入することから新店舗の企画が始まった。
これはと思った物件は他の人の手に渡る前に自分が押さえてしまう。それもまた中尾氏のやり方なのだ。

その物件購入直後に、かつて「グリル ド しんちゃん」のスタッフであった岡崎氏と再会。うどん職人としての岡崎氏の技術と(株)なか尾の持つ居酒屋経営のノウハウが重なった時、新しいうどん居酒屋の企画は一気に現実のものとして動いていく。

中尾氏が「唄う稲穂」に求めたのは従来の居酒屋よりも1ランク上のクオリティ。
特にドリンクの質にはこだわり切った。
その象徴ともいえるのが店に入ると最初に目につくワインセラー。
さらに店の奥にもワインセラーを配置し、2か所のセラーで合わせて500本以上のワインをストックする。
そのワインセラーの存在感が、先ずは店に入ってきたお客様にこの店がただの安居酒屋ではないことを強烈にアピールする仕掛けにもなっている。

店内1階はカウンターとテーブル席で60席。テーブルと椅子は既製品を使わず職人が1つ1つ手仕事で作ったもの。
さらに気軽に使っていただくために客単価は3000円前後になるようリーズナブルなメニュー設定をしているが、料理自体は西中洲「なか尾」の職人が手掛けることで同価格帯の居酒屋よりも質の良い料理を提供している。

もちろん、〆のうどんは岡崎氏渾身のうどん。
「値段以上の価値」を感じてもらうためにお客様が店に入るところから出るまでを設計された同店の作りは、さすがに(株)なか尾の運営店と言って良いだろう。

「実はこの店は同業者に向けて作っている面もあるんですよ」とは中尾氏。
「飲食店のリクルートのやり方は今までと同じでは難しい時代に入りましたからね。だからワインにしても良い物を使い『こんな良いワインを出しているんだね』と感じてもらいたい。お店全体を通して『こんなお店で働きたい』と思ってもらいたいんです」
その想いの背景には中尾氏自身がかつて「グリル ド しんちゃん」で同業の人達と朝まで飲んで騒ぎながら仲良くなり、その人達が次第に気心の知れた良いスタッフになっていたという経験がある。
「同業者の方に来て頂きたいので開店は夕方4時、閉店も翌3時に設定しています。あの頃のように皆で楽しみながら『ここで働きたい』と思ってもらえるようになってくれると良いですね」
と、「唄う稲穂」が(株)なか尾のショールーム的な要素を持つことを中尾氏は期待している。

(画像左)入口入ってすぐに最初に目につくのがこのワインセラー。店内奥にはもう1区画ワインセラーが設けられている。(画像左中)店内のテーブルとイスも職人が1つ1つ手作りした物。リーズナブルさの中に上質感を出している。(画像右中)酒飲みの気持ちを考えて小皿料理は300円より。画像は「じゃこ高菜」(300円)「ネギサラミ」(400円)「黒豆クリームチーズ合え」(400円)。(画像右)丸く肉厚に作ることで食べた時にジューシーな肉汁が口に広がる「メンチカツ」(2個580円)。同店のおすすめメニューの1つ。

(画像左)入口入ってすぐに最初に目につくのがこのワインセラー。店内奥にはもう1区画ワインセラーが設けられている。(画像左中)店内のテーブルとイスも職人が1つ1つ手作りした物。リーズナブルさの中に上質感を出している。(画像右中)酒飲みの気持ちを考えて小皿料理は300円より。画像は「じゃこ高菜」(300円)「ネギサラミ」(400円)「黒豆クリームチーズ合え」(400円)。(画像右)丸く肉厚に作ることで食べた時にジューシーな肉汁が口に広がる「メンチカツ」(2個580円)。同店のおすすめメニューの1つ。



 

サブ3


 

おそらく同じ薬院エリアでうどん居酒屋と言えば気になるのは「二○加屋長介」との関係性だろう。

大将の岡崎氏は前述のように「二○加屋長介」の玉置氏とはうどんを通して師弟関係にある。

その辺りを岡崎氏に振ると「そこは自分も気をつかっています。でも大丈夫ですよ」と屈託のない笑顔で返してくれた。
玉置氏とは開店企画が立ちあがった際にすぐに相談し「福岡独自のうどん居酒屋という業態を一緒に広めて行こう」とお互いの気持ちを確認し合ったそうだ。

そう、うどん居酒屋は福岡独自の居酒屋業態である。
福岡のうどん居酒屋で最初に話題店となったのは中洲川端の「つきよし」。そしてその「つきよし」の持つエッセンスをベースに全体をよりブラッシュアップして生まれたのが「二○加屋長介」。「唄う稲穂」はその「二○加屋長介」の後を受けてうどん居酒屋を次のステージへと導く役目を持っている。

現在、東京などでも徐々に注目され始めている福岡のうどん居酒屋という業態。
「やるからにはやはりうどんでミシュランの星を狙いたい。そして中尾さんに星をプレゼントしたい」と語る岡崎氏の想いの裏には、福岡独自のうどん居酒屋という業態をより広いステージへ導こうとする岡崎氏の意志も感じられる。

福岡から日本全体へ、そして世界へ。
福岡のうどん文化から生まれたうどん居酒屋は今大きく可能性を広げようとしている。

店舗データ

店名 唄う稲穂
住所 福岡県 福岡市中央区薬院1-10-10
アクセス 地下鉄七隈線薬院大通駅から大正通りに入ってすぐ。
電話 092-716-4159
営業時間 16:00~3:00
坪数客数 1階60席 2階60席(2階は11月完成予定)
客単価 3000円前後
運営会社 (株)なか尾 代表 中尾慎一郎

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