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【話題店チェック】今泉 IKAYAKI STAND ~人がつながるコミュニティースタンド文化を街角から創る


サブ1

 

ビジネスの骨子がディテールからパシッと嵌る瞬間がある。
特にロゴデザインが生まれた瞬間、そのビジネスが生き物のように蠢動し始めることがある。

まだ「IKAYAKI STAND」がオープンする前に視察のために訪れたNY。そこ にある様々なスタンドを見ることで得られたインスピレーションと、NY のホテルで使用されていた矢印の案内板。
NYという場所、NYにあるスタンド、そしてNYのホテルの案内板、その3つが重なった時に「IKAYAKI STAND」のロゴマークは誕生し、同時にその瞬間、ビジネス自体の骨子が生まれ、確かな生命感を持って「IKAYAKI STAND」のあり方が浮かび上がって来た。

そのロゴマークはイカの頭を矢印のように表現することで「次のステップへ向かう」という意味を込めながらも、シンプルでどこか可愛いらしさもあるデザイン。

「いか焼き」をNYのテイストで表現することで、日本のコンテンツをNYスタイルでパッケージ化したいと考えていた株式会社Journey company副代表の浜田氏にとって、NYで感じたエッセンスをベースに作られたそのロゴマークこそ、そのまま「IKAYAKI STAND」のあり方そのものだった。

矢印の形をしたイカの頭が「次のステップ」を指し示すロゴマーク

矢印の形をしたイカの頭が「次のステップ」を指し示すロゴマーク



 

2014年4月に福岡市中央区今泉にオープンした「IKAYAKI STAND」。
福岡ではなじみの薄い関西風いか焼きのテイクアウトをメイン商材に据えながら、店内でいか焼きをおつまみに立ち呑みも楽しめる小さなスタンドは、その内容とは別にまるで海外のスタンドをそのまま今泉の街角に置いたような独特の存在感で街行く人達の目を引いている。

ぱっと見は何の店か全く分からない。
しかしその外観に違和感を持ってじっくり見てみると、そこがいか焼きのお店だということが分かり「なんでいか焼き!?」と、軽い驚きを感じる。

さらに、カジュアルで開放的な雰囲気に誘われるように小さな店内に入ると、いきなり初対面の隣のお客様から昔からの知り合いのように声をかけられ一気にその空間に馴染んでしまう。3人が立つと一杯になるその小ささから生まれるお客様同士の距離感が、初対面でもいきなり打ち解けてしまう雰囲気を作り出しているのだ。

さらに、出てくるいか焼きはイカも長崎産のイカを使い、小麦も卵も九州産。
九州産素材にこだわることで、関西のイカ焼きを食べ慣れている人にとっても「いか焼きってこんな上品になるのだね」と感じさせる新しい“MADE IN KYUSHU”のいか焼きが提供されている。
さらにオーガニックドリンクや酵素ジュースも取り揃えることで、地域に根差したオーガニックでヘルシーな“地域のごちそう”を提供するのが「IKAYAKI STAND」のメニュースタイルだ。

外観、空間から生まれる雰囲気、メニューの内容、その全てが今までの屋台の延長のようなスタンドとは違う、良い意味でイメージを裏切る新しいスタイルが感じられる。

海外のスタンドをそのまま今泉の街に置いたような独特の外観。狭い空間がお客様同士の距離感を縮める。

海外のスタンドをそのまま今泉の街に置いたような独特の外観。狭い空間がお客様同士の距離感を縮める。



 

サブ2

 

その「IKYAKISTAND」で浜田氏が狙ったことが2つある。
その1つは日本のファーストフードをリブランディングすること。

いか焼きを選んだのもそこから来ている。
元々(株)Journey company代表の石原紳住氏が大阪出身ということもあり、いか焼きを作るノウハウが手に入りやすかったという背景もある。
だが同時に、関西ローカルであるいか焼きをNYのビジネス手法でパッケージ化することで関西のいか焼きとは違う新しいいか焼きを作り出そうとしたのだ。

「やはりビジネス的な表現の上手さはNYが優れています。フードスタンドだけでも多彩な商品を扱ったスタンドがNYにはあり、それらのスタンドの1つ1つが面白いのです。さらに日本にはまだまだ埋もれたコンテンツがたくさんありますから、それらのコンテンツをNYスタイルでパッケージ化することで新しいブランドが作れると考えています」とは浜田氏。

まさに今泉の「IKAYAKI STAND」はそのようなリブランディングを狙う浜田氏にとって1つのラボ(実験場)のような趣を持っている。

九州産素材で作られ、NYスタイルでパッケージされた“地域のごちそう”【画像左】いか焼き。上が「バジルマヨ」(350円)。下が「明太マヨ」(350円)【画像右】メイソンジャーで提供されるヘルシーなドリンク。キウイ酵素ソーダ(400円)

九州産素材で作られ、NYスタイルでパッケージされた“地域のごちそう”【画像左】長崎産のイカを使ったいか焼き。上が「バジルマヨ」(350円)。下が「明太マヨ」(350円)【画像右】メイソンジャーで提供されるヘルシーなドリンク。キウイ酵素ソーダ(400円)



 

さらに浜田氏が狙ったのが、つながりを生み出すスタンド文化を日本に創ることだ。

スタンドを通して人と人が出会い、つながりが広がる。そんなスタンド文化を日本にも生み出すことを目的に生みだしたのが「IKAYAKI STAND」であり、「私達の目的はいか焼きお店を作ることではなく、海外にあるようなコミュニティースタンドの文化を日本に生み出すことです。『IKAYAKI STAND』はそのための手法です」と浜田氏は力強く語っている。

わずか3坪の小さな店の中で、小さいからこそ生まれるお客様同士の距離感。
そこから生まれた出会いと繋がりは「IKAYAKI STAND」を出発点に街の外に広がり、スタンドをハブ(基点)にした地域コミュニティを形成する。
「IKAYAKI STAND」はそのようなコミュニティースタンドの機能を意識して作られ、その成果を「思った以上にお客様同士がつながり始めています」と浜田氏は確かな手ごたえを感じている。

サブ3

 

「IKAYAKI STAND」は今泉店がオープンしてわずか3ヶ月後の2014年7月に東京お台場「デックス東京ビーチ」内に2号店を出店している。
その展開の早さには驚きを隠せないが、最初から決まっていた出店ではない。
オープンしてすぐに今泉店の持つ新しさが評価され、直接声を掛けられた結果である。

商業施設への出店の結果を浜田氏は「やはり収益的には良い結果が得られています」と語る。
その上で今後の展開として、街角のスタンドは立地条件を見極めながらの出店を考えており、同時に商業施設では収益性、特にテイクアウトでの収益確保を目的に展開する予定でいる。

街角スタンドと商業施設のスタンドの2面展開の中で、浜田氏が狙う「いか焼きのリブランディング」と「スタンド文化を創り」を収益性を確保しながら実現させる計画である。

フードスタンドというスタイルは小さいからこそ大きな資本を持った会社が見逃しがちになる市場だ。

その隙間を突くように新しいチャレンジをしながら日本に新しい文化を生み出そうとしている「IKAYAKISTAND」の動きは、これからの日本の新しいファーストフードモデルとして面白いモデルになる可能性がある。

これからの「IKAYAKI STAND」の展開に注目したい。

「文化を作ることが目的。IKAYAKISTANDはそのための手法です」と語る(株)Journey company 副社長 浜田大輔氏

「文化を作ることが目的。IKAYAKISTANDはそのための手法です」と語る(株)Journey company 副代表 浜田大輔氏



 

店舗データ

店名 IKAYAKI STAND
住所 福岡県福岡市中央区今泉1-9-24
アクセス 国体道路を西鉄福岡駅横を過ぎて左折し徒歩3分。
電話 092-724-8124
営業時間 12:00~22:00 (金・土・祝前日)12:00~24:00
坪数客数 3坪
運営会社 株式会社Journey company 代表取締役 石原紳住

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