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編集長コラム

【COLUMN Vo.12】お客様にとっての意味がそのお店の価値


2月も後半に入りましたが、まだまだ寒い日が続いています。
それでも今週取材で訪れた佐賀県の七山では梅の花が咲いていました。
春はもうそこまで来ていますね。

七山へは農家の取材で行きましたが、フードスタジアム九州では九州の生産者の方々をご紹介し、応援しながらも、同時に飲食店の食材に対する意識の向上も意図しています。

飲食店の価値の中心はやはり「美味しさ」にあります。
その美味しさを作るのは料理人の技術よりも先に良い食材を使っているかどうか。
料理人の技術は良い食材の上に成立します。

その意味で良い料理人ほど良い食材を自分の脚で探されていますし、お客様に「美味しい!!」と心の底から言って頂くことを幸せに感じる料理人ならば、食材を探すのは当たり前です。

ただし飲食店をビジネス的に俯瞰した時、「美味しさ=繁盛」という図式にならないことも多くあります。
そこでは何が起きているのでしょうか?

飲食店の価値の中心にあるのが「美味しさ」であることは変わらないにしても、その美味しさが飛び抜けたものでないとお客様に価値を価値として感じてもらうところまでいきません。

「普通に美味しい」には価値はないのです。

そして、お客様の眼から見た時に飲食店に期待するのは美味しさ+αであったりもします。
美味しいのはお客様にとってお金を払ってまで食べる以上は当たり前のこと。
それ以上の何がないと、お客様はその店に価値を感じません。

その+αをどう作るかが飲食店の勝負なのです。

繁盛店の多くを見ると、その+αがちゃんとあるお店ばかりです。
そして、繁盛店が作る+αはその店の個性と呼ばれるものの中から生まれている場合が多く、自店の個性をきちんと理解し、それがどうお客様に伝わればお客様に喜んで頂けるかが分かっているお店が繁盛店になっています。

ただし、お店の個性によりお客様に感じてもらえる価値は様々に変化します。
「面白い店」であることも価値ですし、「かっこいい店」であることもそれが本当にかっこ良ければ価値になります。
「元気な店」も価値ですし、逆に「静かな店」も価値になり得ます。

こうやって書くと取り留めがなくなりますが、要は自店がどういう店であろうとするのかと、それがお客様にどういう意味を持つのかをちゃんと考える必要があるということです。

「面白いお店」はそのお店を使うことでお客様は明るくなれます。
「かっこいいお店」はお客様のライフスタイルの質を高めます。
「元気なお店」はお客様も元気になれます。
「静かなお店」ゆったりと寛ぐことが出来ます。

そのようなお客様にとっての「意味」をどう作るかが、そのお店に価値があるかないかに繋がります。

 

書店に行くと様々なビジネス書があり、その中には「物を売るな○○を売れ」と言った価値作りに関する内容の本が並んでいたりもします。
その多くは「書いている内容は間違ってはいないけれど」「けれど…」そんな感じのものが殆どでしょう。
実際に飲食を成功された方が書いた情報は自分の店の場合であることが殆どです。
そして飲食を経験していないコンサルタントの人が他人からの情報と理論を優先して書いたものも多くあります。

それらの本や情報が役に立たないとは言いませんが、表面的に捉えるだけだとそれこそ意味がない。

それよりも先ずは自店がどんな店であろうとするのか?
自分自身がどうしたいのか?
自店のお客様はどんな人で、何を求めているのか?
お客様にとって意味のある店になるためには何をすべきか?

それをとことん追求して行った先にそのお店の個性と、そのお店だからこそ提供できる価値が生まれます。

そんな独自の価値を持ったお店が福岡にもっともっと増えて欲しい。

そうすれば福岡の街はもっと楽しくなると思いませんか?

 




 

島瀬武彦島瀬モノクロ横
1971年7月20日生まれ。山口県山口市出身。学習院大学フランス文学科中退後、家業の喫茶店の2代目として飲食店経営に関わる。山口県山口市徳地という山の中の田舎の立地に苦戦する中で、神田昌典氏が主宰する「顧客獲得実践会」に参加。通販業界が使うダイレクトレスポンスマーケティングの手法を飲食店の集客に応用することで売上を劇的に改善。2004年よりマーケティング・戦略コンサルタントとして活動。2014年よりフードスタジアム九州編集長を務める。

 

 

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