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編集長コラム

【COLUMN Vo.11】食でもう一泊してもらうために


先日【COLUMN Vo.9】にて海外からのお客様を含めた観光客を取り込む必要性を書きました。
それは、間違いなくこれからの福岡の飲食店に必要になってくる要素です。

しかし、現状はどうか?

それに対しちょっと古いですが(2014年5月)興味深い記事を見つけたので、ここでご紹介しておきます。

http://www.data-max.co.jp/2014/05/20/post_16457_sn1.html
NET IB NEWS~福岡は「空港」だけで十分なのか!?

内容をかいつまんで紹介すると中華航空の増便などで台湾からの観光客が九州でも増えてきている中で、これまで最終日は福岡市に滞在した後に福岡空港で出国というプランを旅行代理店は定番として組んでいたが、「福岡市に寄っても何もない」という観光客側のクレームから福岡市を素通りして福岡空港で出国というパターンが増えてきたという話です。

記事の中にも触れていますが、福岡市は「市内に観光地はない」という認識が市民も含めて一般的だろうと思います。
その中で無理やり福岡市に滞在しても観光客にとってのメリットはない。

何よりもインターネットで事前に情報を集めた結果、福岡市に見るべきものはないという判断をしていることに情報化社会の中での誤魔化しの効かなさが表れています。

要は海外の人の眼から見て福岡市は観光に適さないとバレてしまっているということです。

寂しい話ですが、これもまた今の福岡市の現状でしょう。

では観光地を作ればいいのかというと、そうでもない。

そこでやはりキーワードになるのは“食”。

もう1つ記事を紹介します。

http://www.travelvoice.jp/20141218-33619
Travel Voice~グーグル検索ランキング2014発表、外国人が知りたかった日本の「観光地」や「日本食」は?

ここで示されているのは2014年のグーグルの検索キーワードの中から観光関連の動向を分析しています。

その記事の中で注目は「衣」・「食」・「住」・「コンテンツ(マンガなど)」・「観光(観光施設など)」の5つのキーワードで分類した時にトップに来るカテゴリーは「食」だということです。
中には「edamame」(枝豆)という意外なキーワードが上位に来たりもしており、ここにも「日本人の眼から見た日本の食」と「外国人の眼から見た日本の食」のギャップが表れています。

いずれにせよ、このキーワード分析の中の都市別ランキングに「Fukuoka」も「Kyushu」もなく、福岡が自慢する「Motunabe」「Mizutaki」「TonkotuRamen」「Mentaiko」も上位には来ていない。

もつ鍋も水炊きも豚骨ラーメンも国内の観光客には通用しています。
「福岡は美味しいものがある街」という認識は国内の人達の中にはあると言って良い。

しかし、その認識はサラリーマンが出張のついでに楽しむレベルの認識であり、北海道のように「食を楽しみにわざわざ足を運ぶか?」と問われるとまだそのレベルには至っていないでしょうし、ましてや海外のお客様には全く通じていない。

これが今の福岡の観光の現状です。

しかし、逆を言えばだからこそ伸び代があると言えます。

昨年、ある行政関係者の方とお話をしていてこんなことをおっしゃっていました

「福岡市は観光客にとって空港を使うための通過点であって良いんです。ただしその通過点上で一泊して食を楽しんでもらう環境が出来れば、今と違う状況が生まれるはずです」

その認識は正しいと思います。

海外からのお客様にわざわざ一泊余分に滞在してもらい、そこで食を通して福岡市と九州の魅力を楽しんでもらえるか?

それがこれから福岡市の飲食店がチャレンジすべきことの1つなのです。

 

 




島瀬武彦島瀬モノクロ横

1971年7月20日生まれ。山口県山口市出身。学習院大学フランス文学科中退後、家業の喫茶店の2代目として飲食店経営に関わる。山口県山口市徳地という山の中の田舎の立地に苦戦する中で、神田昌典氏が主宰する「顧客獲得実践会」に参加。通販業界が使うダイレクトレスポンスマーケティングの手法を飲食店の集客に応用することで売上を劇的に改善。2004年よりマーケティング・戦略コンサルタントとして活動。2014年よりフードスタジアム九州編集長を務める。

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