11月24日、博多区上川端町にもつ鍋とうどん居酒屋の複合業態「稲穂と一慶」がオープンした。運営会社は、もつ鍋店やうどん居酒屋、和食店など、異なる業態の飲食店を全国で17店舗展開している、株式会社なか尾(福岡市中央区、代表取締役中尾慎一郎)。代表の中尾さんは福岡を代表する飲食の名プロデューサーだ。
「稲穂と一慶」では、株式会社なか尾が運営する「唄う稲穂」と「もつ鍋一慶」の人気メニューを厳選してラインナップ。「夏に売上が伸び悩む『一慶』と、冬に弱い『稲穂』。宴会に強い『一慶』、チョイ飲み需要をカバーする『稲穂』。各店の特色をかけ合わせ、弱点をカバーしたのが『稲穂と一慶』です」と中尾氏。人気店の「いいとこ取り」で既存店の課題を解決する、一石二鳥の新業態だ。
中尾氏は、レストランや中華料理店、和食店、寿司屋、ディスコクラブなど実にさまざまな店舗で飲食経験を積み、24歳で独立。1989年のことだった。福岡市のなかでも特に若者が多い大名エリアでオープンした18坪の「グリルドしんちゃん」は、当時月商1300万円を売り上げ、福岡の飲食業界で話題となった。
その後、もつ鍋、うどん居酒屋、炉端などの飲食トレンドをいち早くキャッチし、福岡で店舗展開してきた。老舗うどん店の味を伝える「唄う稲穂」が福岡市薬院にオープンしたのは2014年。500円以下の手軽な居酒屋メニューを豊富にそろえ、ワインは常時100種以上をそろえる同店は、豊富なフード・ドリンクメニューの〆としてうどんを提供する「うどん居酒屋」業態の先駆けだった。その翌年、同ビル2階に炭火焼きとワインをテーマにした「炉端・デ・ニーロ」をオープン。2016年4月には「唄わん稲穂」を、続いて9月にはビルトインの屋台型店舗「博多めでたい屋」を開店した。
独立してからこれまでに手掛けた店舗数は合計34店舗。各店のブランド力を強めながら成功を続けてきたカギは、立地戦略によるところも大きいと言う。
「飲食に適したいいエリアでは、まずは土地ごとおさえて、次に業態を考える。『稲穂と一慶』の場合は、山笠文化を尊重する博多っ子が多い商圏。歯ごたえのある讃岐系のうどんは絶対に受け入れられないとわかっていました。そこで、主力となるうどんを地元客が好む柔らかい麺に変え、『やわい 唄う稲穂』として打ち出すことにしました
博多うどんは「かけ」で400円。ほか、もつ鍋は「生もつ鍋」(1080円~)と「炙りもつ鍋」(1180円~)の2種、それぞれ醬油、味噌、重ね味を用意する。牛串(150円~)や野菜丸ごとを肉で巻いたフォトジェニックな「肉巻きやさい」(380円~)などほとんどの一品料理は500円以下でラインナップし、小ポーションでお酒と楽しめる「唄う稲穂」の設計をブラッシュアップした。
カウンター席を含む1階、テーブル席のみの2階の2フロアで利用目的による客席の住み分けも実現している。2階に施工中の個室が完成したら、すでにある2階席と渡り廊下でつなぐ予定だ。平日はサラリーマンが多く、週末は観光客やインバウンド消費も大いに見込める博多区の一角。16時から翌2時までの営業で、2.5回転を見込む。
(取材=安永真由(チカラ))
店舗データ
店名 | 稲穂と一慶 |
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住所 | 福岡市博多区上川端14-6 |
アクセス | 中洲川端駅から204m |
電話 | 092-710-5535 |
営業時間 | 16:00~翌2:00 |
定休日 | 不定 |
坪数客数 | 1階23坪・40席、2階12坪25席(増床予定) |
客単価 | 2300~3800円 |
運営会社 | 株式会社なか尾 |
関連リンク | http://motsunabe-ikkei.com/ |