渡辺通り、明治通り、昭和通りが交差する福岡市・天神の天神ビル地下1階に真っ赤な赤い星のネオンが目印の立ち飲み店「博多空気椅子酒場 アカボシ」が6月24日にオープンした。リーズナブルに提供できる立ち飲みだからこそ、食材やドリンクは国産や無農薬、自家製などにこだわる。店内のオート化を進め、若手従業員の働きやすい環境づくりにも力を入れている。「串カツ博多空気椅子酒場」(渡辺通)や焼肉店「ニク マッスル スグル」(那の川)など7店舗を展開する紫京(しきょう)代表取締役の柴田輝彦さんは「安心して口にできる良い食材、良い飲み物をリーズナブルに提供したい」と話す。10年以上前から「空気椅子酒場」と銘打った立ち飲み業態を続けてきたからこそ、立ち飲みの利点を十二分に生かした店舗運営を実現させている。
リーズナブルに「本物」を提供
柴田氏が「体に良いもの」にこだわる同店の出店を決めたのは、この春のある出来事がきっかけだったという。「実は大病を患ったんです。自然派、純米酒、天然魚などは以前から意識していましたが、体に直接入る食べ物や飲み物の大切さを痛感しました」と振り返る。立ち飲みには若い客層も多いからこそ「リーズナブルな価格で体に良い『本物』を知ってもらいたい」と入院中の病床で出店の計画を練り上げたという。オート化でコミュニケーション促進
同時に力を入れたのが店内のオート化だった。同店は10枚綴りのチケット制(1000円)。客は入り口の券売機でチケットを購入し、注文の品と自分の番号をチケットの裏に記入して店員に渡す。料理ができるとそれぞれの手元で機械の呼び出し音が鳴り、受け取りに行くというフードコートスタイルだ。ドリンクも客が自ら冷蔵庫の中の冷えたグラスを取り出し、全自動のサーバーで生ビールを注ぐ。日本酒や焼酎もセルフサービスだ。 柴田氏は「常連の方が新規の方にやり方を教えてあげるなど、お客さん同士のコミュニケーションが生まれるきっかけにもなっている」と新たな試みの手応えを語る。オート化で人件費をかけない分、「良い食材を調達する」というコンセプトにも忠実でいることができている。大方の料理はセントラルキッチンで仕込んでいるという同店。柴田氏は「厨房での調理も大変ではなくなり、アルバイトが自信を持って楽しく働くことができるようにしたいと思っている。厨房にこもりっきりにならないし、オート化で余裕も生まれるのでお客さんとの会話も増えています」と話す。
麺、餃子の皮など自家製にこだわり
15年前の1号店から続く同店の名物料理が近年専門店も増えている坦々麺だ。福岡市・南区にあるセントラルキッチンでは国産小麦にこだわって製麺から行う。スープは鳥肉だけでスープを取り、化学調味料は加えていないという。味の決め手となるラー油も厳選した香辛料を調合し、「しびれ花山椒 赤坦々麺」(チケット5枚)として提供する。ニンニク不使用の「博多かしわ焼き餃子(5ケ)」(同3枚)も皮から自社で生産している。「涙の刺し盛り」(同5枚)などの刺身には、自然発酵させた糸島のミツル醤油製造元の醤油を使用。「糸島ミツル醤油もろみ冷奴」(同3枚)ではミツル醤油のもろみも味わえる。「鹿児島県黒毛和牛のカルビ鉄板」(同5枚)は限定10食。チケット1枚で1本が注文できる串カツも常時10種類以上を揃える。チケット2、3枚のつまみもラインナップ豊富だ。アルコールを添加しない純米酒(日替わり、同4〜6枚)も多数揃え、毎年酒蔵を巡って杜氏たちとの交流を深めているという。ビオワイン(日替わり、同5、6枚)を扱っていることを聞きつけ、わざわざ訪れる客もいるという。無農薬・ノーワックスの国産レモンを使ったオリジナルの「無農薬レモンサワー」(同4枚)や日本酒カクテル「純米濁りソーダ」(同)、タップ・マルシェのクラフトビールもチケット4枚でセルフサービスだ。
「元気で若い人たちの溜まり場に」
地下鉄空港線から徒歩2分のため、福岡空港に向かう出張客や空港線沿線に住む人々も多く訪れるという。柴田氏は「ビジネスの話が繋がったりもしているようです。元気で若い人たちが週2、3回訪れるような溜まり場にしていきたい」と語る。14坪の立ち飲みという空間に「体に良いもの」「オート化」「若者が働きたくなるような環境づくり」など飲食業回にとって重要なキーワードを立ち飲みの空間に詰め込んだアカボシ。その挑戦からは目が離せそうにない。(取材=港そら)
店舗データ
店名 | 博多空気椅子酒場 アカボシ |
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住所 | 福岡市中央区天神2−12−1 天神ビル地下1階 |
アクセス | 地下鉄空港線天神駅徒歩2分 |
電話 | 092-983-8866 |
営業時間 | ランチ 【月〜金】 11:30〜14:00 、角打ちタイム【月〜金】16:00〜23:00、【土】14:00〜22:00 |
定休日 | 日曜日 |
坪数客数 | 14坪 40席 |
客単価 | 2000円 |
運営会社 | 株式会社紫京(しきょう) |
オープン日 | 2019年6月24日 |