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COMATSUグループとMANDARIN MARKET文華市場 のコラボ店「China Stand 二兎」が地下鉄空港線・東比恵駅徒歩1分に開業。同級生コンビが「お散歩中華」をコンセプトに毎日でも食べたくなるカジュアルな本格中華で新風を巻き起こす

オフィスや住居が入るビル1階にオープンした「China Stand 二兎」。ガラス張りの入り口からは、一人客も気軽に中華を楽しめるカウンター席が見える
料理人たちの姿が見える厨房が中心に据えられた店内
山北氏の数年越しの研究の末に完成した「華味鳥のよだれ鶏」(写真は中盛り)
「ブルーベリー酢豚」はブルーベリーの甘酸っぱさを酢豚に生かしたMANDARIN MARKET 文華市場でも人気のメニュー
テイクアウトOKの「特薦!胡椒焼売」は1個180円から注文できる
コラボ店を出店したCOMATSU代表の松村宗孝氏(左)とMANDARIN MARKET文華市場オーナーシェフの山北裕児氏。地元久留米で中学の同級生であり、ONOグループで繁盛店を共に手がけた間柄だ

福岡市地下鉄空港線・東比恵駅徒歩1分、オフィスビルや専門学校、マンションが立ち並ぶこのエリアに3月5日、カジュアルな中華料理が楽しめる「China Stand 二兎」がオープンした。福岡の飲食業界で人気の「COMATSU」グループ、そして確かな技術をベースにベジタブル・チャイニーズという新たなるジャンルを切り拓く福岡・警固の「MANDARIN MARKET文華市場」のコラボとあり、業界でも話題だ。COMATSU代表の松村宗孝氏とMANDARIN MARKETオーナーシェフの山北裕児氏は地元中学の同級生であり、多店舗展開で知られるONOグループ時代に繁盛店となる店を共に立ち上げた仲 。コラボ店出店にあたり台湾や東京でもリサーチを重ねてきた2人は「ワイワイガヤガヤした中国の雰囲気を日本人なりに表現したい」と話す。本格的でありカジュアル、毎日でも食べたくなる「お散歩中華」がコンセプトだ。

「前倒し」で実現したコラボ出店

コラボ店の出店が決まったのは昨年9月、MANDARIN MARKETに遊びに来た松村氏と仕事を終えた山北氏がいつものように歩いて帰宅している時だった。当時、松村氏は現在二兎が入るビルのオーナーに建て替えに伴う出店の誘いを受けていた。COMATSUとしては9店舗目となる出店だったが、東比恵の地では自社の洋食やカフェ業態での店舗イメージが湧かずに断る直前だったという。ビルのオーナーへの回答期限が3日後に迫っていたこの夜、「あんたがやるなら受けるけど」と呟いた松村氏に対し、「あんたが本当に言ってるんならやるけど」と返した山北氏。地元久留米で同じ中学の同級生という44歳の両氏は、常々「50歳過ぎたら8席くらいの小さい店を一緒にやれたらいいね」などと話していたという。その計画が前倒しされることが決まった瞬間だった。

両氏の出会いは中学入学後すぐのスケッチ大会。同じクラスになることはなかったものの、同学年の仲間として親交を深め、松村氏はバスケットボール部、山北氏は剣道部のキャプテンを務めるなど活発な青春時代を過ごした。卒業後は別々の高校に進み、松村氏は久留米でバーテンダーとして働いた後上京、山北氏は中村調理師学校(現:中村調理製菓専門学校)に進学し、同窓会や同級生の結婚式などで顔を合わせる程度だったという。

2度目の決定的な出会いとなったのは、山北氏が「シーホークホテル&リゾート」の中華「龍殿」で修行を積み、松村氏はUターンして就職したONOグループの大名店で同社2店舗目の店長を任された頃。地縁も薄く暗中模索する松村氏に客を紹介したのが山北氏だった。一方、その後にシーホークを退職してラーメンチェーンで勤務し、1年で7店舗を立ち上げるなど店舗拡大に奔走する山北氏の自宅に真夜中に軽トラで駆けつけて相談相手になったのが松村氏だったという。2007年には山北氏もONOグループに加わり、09年には料理統括最高責任者兼支配人としてイムズ13階のHAKATA ONO を松村氏と共に立ち上げるなど、今回のコラボ店の礎となる仕事を成し遂げた。その後、松村氏は独立して11年11月11日にCOMATSUを創業して店舗を増やし続け、山北氏も同じ年に日本中国料理協会料理コンクール全国大会で金賞を受賞、15年にはMANDARIN MARKET文華市場を福岡市中央区警固にオープンするなどそれぞれの道を極めてきた。

「深掘り」メニューと自慢のスタッフ

レストラン的な位置付けのMANDARIN MARKETに対し、二兎はカジュアル感を重視した。メニューは一人でも注文しやすい小皿料理から大人数で楽しめるがっつり系まで50品以上。松村氏から「お客さん感覚」のリクエストを受け、山北氏が試作を重ねて「深掘り」したメニューが並ぶ。「名物!華味鳥のよだれ鶏」(小盛580円、中盛り900円)は長年研究を重ね実現した一品。「特薦!胡椒焼売」(1個180円)は数量限定だ。MANDARIN MARKETの人気料理「ブルーベリー酢豚」(780円)の他、「台湾緑竹と川海苔の天ぷら」(480円)や「季節野菜入りサクサク海老マヨ オレンジ風味」(780円)などはつまみでも食事でも楽しめそう。松村氏が「絶対流行る」と断言する「しびれ麻婆麺」(980円)も注目だ。自らも厨房に入る山北氏は「肩肘張らない、だけど丁寧な仕事をしたい」と語る。ホールは「会社の一番の強み」と松村氏が自負するCOMATSUのスタッフたちが担当する。

飲み物は花椒と唐辛子を使った痺れるカクテル「麻辣ハイボール」(580円)や紅茶リキュールとミルクの「タピオカ入りティフィンミルク」(580円)などのオリジナルドリンクの他、ライチ紅茶やケツメイシ茶など12種類を揃える中国茶(480円)、タピオカジャスミンミルクティー(500円)などソフトドリンクも多彩なラインナップだ。

信頼し合うサービスマンと料理人

コラボ店成功の難しさから 、両氏は周囲から「本当に大丈夫か」と言われ続けているという。だが松村氏が「彼は正統派であり、かつ吸収力がある。僕は彼の料理の純粋なファン」と言えば、山北氏も「彼みたいなサービスマンがいたら安心だなとずっと思ってきた」と応じる。 最初の出会いから30年以上「衝突したことがない」「波長が合うんだろうね」と笑い合う両氏。実際、今回の出店に際しても「これいいね」「あ、いいよね」とテンポ良く準備が進み、「ノーストレスだった」と声を揃える。信頼が信頼を生み、それぞれのパフォーマンスを十二分に発揮する微笑ましいほどのコラボレーションが実現した。

オフィスに囲まれ、飲食店も少ない東比恵というエリアについて松村氏は「正直まだ読みきれない」というが交通量は多く、夕刻時の人の往来も途切れない。山北氏は「終電まで精一杯おもてなしします」と意気込む。いずれはランチ営業も始める予定だという。二兎を成功させて若手を育てていくのはもちろん、両氏は「まだまだコラボネタがいっぱいある。必要とされる時に必要とされる業態を立ち上げるスキルとパワーを持ち続けたい」と声を弾ませる。お互いを心から信頼し合うサービスマンと料理人。卯年生まれの両氏が「二兎」となって二人三脚で新風を巻き起こし始めた。「地元久留米に中華街を」。そんな夢が夢では終わらないかもしれない。

(取材=港そら)

店舗データ

店名 China Stand 二兎(にと)
住所 福岡県福岡市博多区東比恵1-5-5 THE RISE八重洲1F
アクセス 福岡市地下鉄空港線・東比恵駅徒歩1分
電話 092-477-3315
営業時間 17:00~翌0:00 (料理L.O. 23:00 ドリンクL.O. 23:30)
定休日 日曜日
坪数客数 20坪40席(カウンター9席、テーブル36席)
客単価 3000円
運営会社 株式会社COMATSU、 MANDARIN MARKET文華市場
オープン日 2019年3月5日
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