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居酒屋より上質、割烹より手軽な上等の居酒屋「食堂ぎんみ」が福岡・西中洲にオープン。「丸秀鮮魚店」など展開のFooman LAB 9店舗目。三本柱は和食、フライ、土鍋ごはん

石畳の風情ある福岡・西中洲の路地裏にオープンした「食堂ぎんみ」
人気のカウンター席では料理人たちが食材をさばく様子を視覚で「味わう」ことができる
鮮魚をはじめとしたフライはアラカルトでもコースでも楽しめる
土鍋でふっくらと炊いたご飯に削りたての枕崎産本枯れ節、だし醤油をかけて食べる組み合わせは田中社長一押しだ。この本枯れ節や利尻昆布を引いた出汁のUMAMIも味わい深い
(左から)Fooman LAB 取締役商品開発部長の林田康一郎氏、社長の田中秀一氏、店長の原田憲知氏

福岡市の再開発プロジェクト「天神ビッグバン」の「奥座敷」と位置付けられる西中洲に1月 22日、「食堂ぎんみ」がオープンした。運営するのは居酒屋「丸秀鮮魚店」「博多丸秀」などを展開するFooman LAB (フーマンラボ)。「炉端NUMBER SHOT」(福岡市・大名)に続く同社の2年ぶり、9店目となる同店は「居酒屋より上質、割烹より手軽な上等の居酒屋」がコンセプトの和食居酒屋だ。三本柱はUMAMI を生かした和食、フライと土鍋ごはん。老舗割烹や寿司屋が並ぶ石畳の路地裏は決して人通りが多いエリアではないが、社長の田中秀一氏は「力の試しどころ」と力を込める。

本物の「美味しい」で届ける感動

「居酒屋では物足りず、割烹は敷居が高い」と感じる30、40代を意識したという同店。田中氏は「本当に美味しいものを食べた時のあの感動を味わってもらいたい。だけど客単価3000〜4000円では提供できる食材にも限界があったんです」と語る。そこで料理は厳選した食材を生かしたアラカルトを中心に、6500円、8500円、1万円(飲み物込み)のコースも用意し、特別な記念日やビジネス利用にも申し分のない内容だ。「使い勝手の良い店になれば」と田中氏。

「本物」にこだわる理由はそれだけではない。国内外の超高級店から大衆食堂まで年間数百件を食べ歩く田中氏は「日本は食文化が成熟して何でもある割に、本物を知らない人が多い」と感じてきたという。食材の9割は九州産という「食堂ぎんみ」には「日本の食文化を次の世代に伝えていく間口になりたい」という使命感も垣間見える。

全てを唐津焼と有田焼で揃える器の中には、豊臣秀吉の朝鮮出兵の時代に遡る400年前の地層から掘り起こされたという唐津焼を金継ぎしたアンティークも。来店客はまず、この器でUMAMIと香りが最大限に引き出された出汁を五感で楽しみ、先付け、お造り、お椀、魚料理…と味わっていく。

「ぎんみに行くために福岡へ」

関西出身の田中氏は、初めて九州のゴマサバや鰹節を口にした時のかつての自身の感動に素直に従い「福岡・博多を訪れる人たちに、食を通してこの土地を感じてもらいたい」と話す。さらに、地元客が特別な時間を過ごす空間としてはもちろん、「『ぎんみに行きたいから福岡に行こう』と思ってもらえるような目的店になりたい。そうじゃなきゃこの場所で繁盛しません」と明確だ。

京都、東京、スペイン・サンセバスチャンなどは、美食を求めて世界から人々が集う都市として知られる。田中氏は「福岡・博多を食の最先端、『食の都』にしたい」とも語る。 「そのためにも、『福岡は老舗から居酒屋まで美味しい物が食べられる店が多い』と認識される必要がある」。店名の由来でもある「吟味」は「今の人の口に合う味」と書く。決してトレンドを追うのではなく、しかし常に時代をキャッチしながら「本物の美味しさ」を福岡・博多から世界へ発信していこうとする意気込みが感じられる。

「和食、フライ、土鍋」が3本柱

店内に立ち入った瞬間に感じる香りの正体は、削りたての枕崎産本枯れ節だ。この1年熟成の本枯れ節に加え、荒節、マグロ節を毎日欠かさず削り、利尻昆布を合わせて最適な温度で和食の基本である出汁を引いて「UMAMI」を生み出しているという。

料理人たちは「食で人を喜ばせたい」という田中氏の思いに共感する顔ぶれが揃う。食材は 料理人でもある店長の原田憲知氏や同社取締役商品開発部長の林田康一郎氏らが「吟味」。魚市場や漁師から直接仕入れる魚介類などのフライは和食、土鍋に並ぶ同店の三本柱の一つだ。「酒のアテ、美味しいご飯のおかずには天ぷらもいいけど、フライも面白いと思った」と田中氏。カウンター席では生きた車海老が目の前でさばかれ、本枯れ節も目前で0.1ミリの薄さに削られる。食材を視覚で味わえるのも同店の醍醐味だ。

土鍋で炊く米は「五つ星お米マイスター」が四季によって厳選した上質なブレンド米。料理に最適と言われる硬度30mg/L前後の日田天領水でみずみずしく、ふっくら柔らかでありながら米粒が引き立つ絶妙な炊き加減を追求した。

アラカルトも充実している。 出汁巻きたまご(1人前、290円)、金星豚と九条ねぎのつゆしゃぶ(890円)はこだわりの出汁を使用。トリ貝炙り(1200円)、九条ねぎ豚巻き串(1本、220円)などの厳選素材、ホタテ貝柱磯辺焼き(1個、390円)、手羽先の一夜干し(3本、490円)などの肴、フライでは車海老(350円)や活穴子(300円)レンコン挟み揚げ(150円)など幅広い。土鍋ごはん (二合、千円)のお供には卵(150円)や鮪漬け(3枚、590円)などが揃う(いずれも日替わり)。コースは前日までの予約が必要。

日本酒は九州産を豊富に取り揃えているのはもちろん、30種類以上の日本ワインをラインナップ。8種類のハイボール(590円〜)はジャパニーズ・ウイスキーにこだわり、 無農薬レモンを使った自家製とびしまレモン酎ハイ(590円)をはじめ、八女茶ハイや宮崎日向夏酎ハイ(いずれも490円)など和酎ハイシリーズも充実している。

「ねこまんま」が美味しすぎて・・・

オープンから1ヶ月あまり。田中氏は土鍋ごはんに削りたての本枯れ節をのせ、だし醤油をかけたねこまんまが「むちゃくちゃ美味しい」と目を輝かせる。客からの「おかわり!」は珍しくなく、飲食業の仲間たちからも「これはうまい」と太鼓判を押された。「うまい銀シャリと鰹節、味噌汁とおかずがあれば間違いない」。新たな構想に着手する日は遠くない。

(取材=港そら)

店舗データ

店名 食堂ぎんみ -ginmi-
住所 福岡県福岡市中央区西中洲2-16
アクセス 西鉄・福岡天神駅より徒歩7分
電話 092-753-9448
営業時間 【平日】17:00〜翌1:00(L.O 24:00)【金土祝前日】17:00〜翌2:00(L.O 1:00)
定休日 不定休
坪数客数 39坪54席(カウンター10席、個室4室、ダイニング22席)
客単価 6000円
運営会社 株式会社Fooman LAB (フーマンラボ)
オープン日 2019年1月22日
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