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多国籍な老若男女が集う「おしゃれなアフリカ」 !福岡・大名でアフリカの食文化を発信する「Blue Banana Dining Bar」に注目

九州最大の繁華街・天神の西側に位置する大名地区に店を構えるBlue Banana Dining Bar。ブランドショップやレコード店、ホテルやバーが並ぶ人通りの多い道に面している
左右の壁を塗り分けたカラフルな店内。アフリカのインテリアが上品に飾られている
自家製チャーシューと野菜がふんだんにトッピングされた「アフリカンラーメン」。香辛料が効いたスープとラーメンの絶妙な組み合わせにリピーターも多い
東アフリカ・ウガンダの屋台料理「ロレックス」の名前の由来は「ロールエッグス=巻いた卵」。ウガンダではロレックスフェスティバル」が開かれるほどの名物料理だ
オーナーのティム・キビラ氏

福岡・大名地区に、ひと際人目を引く店名のアフリカ料理店「Blue Banana Dining Bar (ブルーバナナダイニングバー)」がある。アフリカ(アフロ)と日本の食の融合「アフロジャパニーズ」をテーマに、日本料理店で修行を積んだ日本人シェフがアフリカ由来のスパイスや食材を巧みにアレンジ。2017年3月のオープン以来、オーナーのティム・キビラ氏の天下一品級のフレンドリーさと話術も相まって、10代の学生から年配客まで国籍を問わず幅広い人々が常連として定着してきた。

おしゃれなアフリカ

白と青緑の2色に塗り分けられた左右の壁、所々に上品に飾られたアフリカのインテリアや絵画。店内に足を踏み入れる女性客の多くは、思わず立ち止まって「おしゃれ」とつぶやく。アフリカ製の食器やバスケットに盛られた彩り豊かな料理が運ばれてくると、もちろんスマホでパシャリ。「流れている音楽がかっこいい。曲名を教えて」と尋ねる人も少なくない。東アフリカ・ウガンダ出身のキビラ氏は「おしゃれで美味しいレストランはアフリカ各地にある。『エスニック』や『ジャングル』といったイメージで一括りにできないアフリカを感じてほしい」と話す。
2010年以来 、移転しながら計3カ所でアフリカルーツの音楽を流すバーを経営してきた。その間、温めてきた音楽やイベント、食に関するアイディアを形にする空間として、これまでのほぼ倍の広さのある現在の店舗に決めたという。居抜き物件だったが内装を一新。一度職人が塗り終えた壁の色も、イメージとずれていたため塗り直すなど、雰囲気作りには徹底的にこだわった。人通りの多い大名エリアを選んだのには集客はもちろん、「おしゃれなアフリカ」が道ゆく人々の目に留まることを願ってのことだ。

「Edutainment(エデュテイメント)」の空間

福岡県内で13年間英会話学校を経営していたキビラ氏にとって、今も「教育」は変わらず大切なテーマだ。「美味しい料理を出すのは当然のこと。その上で、食べた物やスタッフとのやりとり、隣の席の人との会話や音楽を通して学び、『貴重な経験をした』と思ってもらえる店でありたい」と話す。

その思いから、様々なイベントを主催したり、店舗を会場として提供したりしている。テーマはアフリカンファッションショーやアフリカ音楽などに限らず、ハワイ出身のイラストレーターによる作品展、イラン音楽のランチコンサート、日本人には馴染みの薄いヤギ肉料理のパーティーなど多様。キビラ氏は「楽しみながら世界への視野を広げてほしい。ただのEntertainment (エンターテイメント) ではなく、Education(教育)も掛け合わせたEdutainment (エデュテイメント)の空間です」と話す。

来店客も故郷の味を求めて県内外から訪れるアフリカ系在日外国人、「アフロジャパニーズ」というコンセプトへの興味から立ち寄る欧米人なども多く、店内には日常的に様々な言語が飛び交う。国籍を問わず客同士の会話が弾むように、全50席の半分は移動しやすい立ち飲み向きだ。

店名にある「Blue Banana =青バナナ」もEdutainmentの仕掛けの一つ。初めて来店するほぼ全ての人が尋ねる店名の由来は、ウガンダの主食だという青バナナ。現地では熟す前の緑色の状態で食べる調理用の品種があり、「日本人に写真を見せると『あ、青いバナナね』と言われるので店名にしました」とキビラ氏。9年前にバーを開いて以来、 何千人の人々と店名をきっかけに世界の食や文化について語り合ってきたのだろうか。

ポテンシャルを信じて

西アフリカのトマトや魚介のスープをベースにした「アフリカンラーメン」(1000円)はこれ目当てで訪れる人も多い名物メニュー。福岡のカレーの名店が集うイベントの中でも特に高評価を得たという「ウガンダカレー」(1000円)は青バナナやココナッツミルクを煮込んだ一品。卵と野菜、ハーブチキンをトルティーヤで巻いたウガンダの屋台料理「ロレックス」(1000円)も人気だ。北アフリカの主食クスクスのサラダ仕立て(900円)や、熱帯地域の芋キャッサバのフライ(700円)など旅好きが気になる品々も並ぶ。

「日本人には珍しいからと馴染みのある味にアレンジし過ぎるようなことはしない。良い物をそのままおいしく、おしゃれに味わってほしい」とキビラ氏。「10年近く前から一緒に仕事をしたいとアプローチしていた日本人のシェフも、そのポテンシャルを信じてついて来てくれている」と力を込める。

業態、場所は幅広く

日本在住23年の経験から「アフリカの文化は食だけでなく、音楽や芸術も日本人の心を掴む物が数多くある」と語るキビラ氏は現在、ウガンダ産のジンの輸入準備を進めている他、アーティストの招聘も計画中だ。店舗展開の場所も福岡に限らず、業態もクラブ、アートギャラリー、コーヒーショップなど様々な形でアフリカを発信していきたいという。 キビラ氏から溢れ出るビジョンに期待が膨らむ。

(取材=港そら)

店舗データ

店名 Blue Banana Dining Bar (ブルーバナナダイニングバー)
住所 福岡県福岡市中央区大名1-14-15 プリオ大名2F
アクセス 西鉄福岡・天神駅から徒歩6分
電話 092-707-0713
営業時間 【火〜日】18:00〜3:00
定休日 月曜
坪数客数 22坪50席
客単価 3500円
オープン日 2017年3月17日
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