九州・山口の飲食店、レストランの新しい潮流を発信するビジネスサイト「フードスタジアム九州」

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Title:日本初!飲食店プロデュースのプロレスラーが、12月14日にリングデビュー決定

9月7日、DDTプロレスリングは福岡市中央区今泉の人気飲食店「魚男(フィッシュマン)」がプロデュースする謎の覆面プロレスラー魚男(フィッシュマン)のリングデビューを発表した。

プロレスと飲食店との異色のコラボレーションであり、飲食店プロデュースのプロレスラーのデビューは日本初の試みとなる。

魚男プロレスデビューの企画は、「魚男」を運営し同時に大のプロレスファンでもある(株)M&Coの森 智範代表と、DDTプロレスリング高木三四郎代表との親交の中から生まれた。飲食店とエンターテイメントの融合を目指す森氏の「魚男」と、”文化系プロレスリング”を標榜する高木氏のDDTプロレスリングの、それぞれの方向性が一致した結果だ。

デビュー戦は12月14日に開催されるDDTプロレスリング博多スターレーン大会にて、インフォマーシャルマッチとして組まれる予定。

(インフォマーシャルマッチとは、大会が開催される地域の地場企業がインフォメーションしたい商品、サービス、店舗をプロレスの試合を通してプレゼンする試合形式のこと。過去には九州発のアイドルグループ”LinQ”の伊藤麻希がDDTのリングでプロレスデビューを果たしている)

「魚男」のプロレスデビューは、飲食店の新しいプロモーションの形となるか?

今後の活躍に注目が集まっている。



謎の覆面レスラー魚男(フィッシュマン)「飲食店の皆様と同じくお客様に喜んで頂くために試合に臨みます。応援して下さい!」と意気込みを語ってくれた。

謎の覆面レスラー魚男(フィッシュマン)「飲食店の皆様と同じくお客様に喜んで頂くために試合に臨みます。応援して下さい!」とデビューに対する意気込みを語ってくれた。





DDT 12月14日博多大会

■日程 2014年12月14日(日) 開場:15:00 開始:15:30

■会場 博多スターレーン

■チケット
-前売り-
スーパーシート 7,000円
指定席 5,000円
自由・立見 4,000円
3大会通し指定席 12,000円
3大会通し自由席 10,000円

前売りチケットは以下のチケット販売所より販売。チケットぴあ(Pコード594-100)、ローソン、e+。

-当日-
スーパーシート 7,500円
指定席 5,500円
自由・立見 4,500円
3大会通し指定席 13,000円
3大会通し自由席 11,000円
U-18チケット1,000円(要身分証)

Title:9月14日、飲食店コンサルタント大久保一彦氏のセミナーが福岡市にて開催。

9月14日、飲食店コンサルタントとして24冊の著書を発表し、1000店以上の飲食店の指導経験を持つ大久保一彦氏のセミナーが福岡市博多区の「焼き肉の大東園」にて開催される。

主催は株式会社インタークロス(栢野克己代表)。

海外視察900日という飛び抜けた勉強量で豊富な知識と経験を有する大久保氏のセミナーは、同時に現場に即した実践的な内容でも人気を博している。

さらに今回は繁盛店の事例のみならず、自身のコンサルタントとしての戦略も公表する内容で、飲食店のみならず飲食店関連事業の営業職の方にとっても学びになる内容が用意されている。

お問い合わせは株式会社インタークロス 092-781-5252

セミナー詳細及びお申し込みは http://yumesenkan.jp/modules/news/index.php?page=article&storyid=147




 

【福岡】9/14大久保一彦セミナー交流会

■定員18名

■対象者:飲食等の経営者・起業予定者・コンサル・興味ある人

■日 時・9/14(日)13:30~17:00 ~希望者で懇親会

■参加費・5000円 ※懇親会は別途

■場所・焼肉の大東園・会議室・福岡市博多区上川端町1-1-1
□地下鉄・祇園・歩5分・地図 http://www.daitoen.com/tenpo/map.html


Title:宮崎ロイヤルフィッシュ(宮崎県産チョウザメ)をフューチャーした「宮崎マルシェ2014」が福岡市にて開催中。

宮崎ロイヤルフィッシュ(宮崎県産チョウザメ)の、食材としての普及を目的にした「宮崎マルシェ2014~宮崎ロイヤルフィッシュ」が、福岡市のレストラン11店舗とコラボして現在開催されている。主催は宮崎県。企画はみやざき大使でもある沖克洋氏(アトリエ・オキ)。

宮崎ロイヤルフィッシュの肉は「透明感のある美味しさに、しっかりとした歯ごたえが楽しめる」一級の食材だが、一般の認知はまだ高くはない。そこで福岡市内のレストラン11軒のシェフが腕をふるったオリジナルメニューを開発。「宮崎マルシェ2014」期間中、各店の特別メニューとして提供される。

開催は9月1日より9月30日まで。

 

宮崎マルシェ2014~宮崎ロイヤルフィッシュ 参加店舗

アトリエ・オキ (代表・沖克洋)
TEL 092-525-0009
福岡市中央区薬院4-18-15-1F
提供料理
宮崎ロイヤルフィッシュランチ
Oki流 宮崎ロイヤルフィッシュの“タルタル”
宮崎ロイヤルフィッシュの冷たい炙り焼マリネ
宮崎ロイヤルフィッシュのムニエル
宮崎ロイヤルフィッシュディナー

ビストロIUKI (オーナーシェフ・松岡悠樹)
TEL 092-262-8331
福岡市博多区下川端町10-16-1F
提供料理
ロイヤルフィッシュ 瞬間エスカベッシュ
ロイヤルフィッシュのタルタル へべすの香り
ロイヤルフィッシュのフリテュール くるみと味噌の濃厚ソース
ラルドを巻いたロイヤルフィッシュのポワレ

レスタッシュ (代表・平賀幸治)
TEL 092-406-7973
福岡市中央区渡辺通1-9-30
提供料理
ロイヤルフィッシュのカルパッチョ 根セロリのムース イチジクのサラダ添え
ロイヤルフィッシュのスモーク へべすのオランデーズソース
ロイヤルフィッシュと甲殻類のブイヤベース仕立て
ロイヤルフィッシュのポワレ ポロ葱のタルトレットと共に
選べる宮崎フェアースペシャルコース

ワイン&料理 Cai-on/カイオン (シェフ・伊藤勝裕)
TEL 092-823-1151
福岡市早良区西新5-6-6-2F
提供料理
ロイヤルフィッシュの炙り ミ・キュイ ラタトゥイウとコラーゲンのゼリ寄せ
アーモンド風味ロイヤルフィッシュのフリット へべすとサワークリームソース
ロイヤルフィッシュのクリュ 野菜のジュレ ガスパッチュソース
トラットリア・デル・チェーロ (オーナーシェフ・坂井裕伸)
TEL 092-714-0975
福岡市中央区薬院1-11-7SビルⅡ2F
提供料理
宮崎ロイヤルフィッシュのタルタル イタリア風パセリのソース、キャビア添え
宮崎ロイヤルフィッシュのガランティーヌ
宮崎ロイヤルフィッシュのマリネ フェンネル風味
宮崎ロイヤルフィッシュと野菜のミネストラ(スープ仕立て)
宮崎ロイヤルフィッシュのラルド巻きロースト、へべすソース
宮崎ロイヤルフィッシュのラヴォオリ

なかがわ (シェフ・中川英樹)
TEL 092-791-2615
福岡市中央区薬院1-6-25 ルネスキューブ1F
提供料理
シェフのおまかせディナーコース
ロイヤルフィッシュのタルタル コースの一皿
ロイヤルフィッシュのカツレツ コースの一皿
ロイヤルフィッシュの低温ロースト

jamjam (オーナーシェフ・渕上誠剛)
TEL 092-738-7766
福岡市中央区大名1-8-36-1F/2F
提供料理
ガストロバック ロイヤルフィッシュのズッパ ディ ペッシェ
ガストロバック ロイヤルフィッシュのヴァポーレ アンチョビと卵のソース
ガズトロバック ロイヤルフィッシュのヴァポーレ リグーリア風
ロイヤルフィッシュと海と山の華のインサラータ へべすの香る サルサベルデ
ガストロバック ロイヤルフィッシュのフリット

侑久上海 (料理長・塚崎幸一)
TEL 092-718-3377
福岡市中央区天神3-8-18
提供料理
ロイヤルフィッシュのスパイシーガーリック炒め
ロイヤルフィッシュの特性甘酢あんかけ
ロイヤルフィッシュのへべす入り油淋ソースかけ
宮崎ブランドポーク自家製ベーコンとロイヤルフィッシュの上海風土鍋スープ

絹街道/シルクロード (料理長・松本耕太郎)
TEL 092-725-1424
福岡市中央区今泉1-17-14-1-A-3
提供料理
ロイヤルフィッシュと龍井茶のワンタン 2種漢方ソース
ロイヤルフィッシュと春雨の強火蒸し 葱、姜風味シーズニングソース

鮨と和の食 清吉 (店主・岡本毅)
TEL 092-821-5064
福岡市早良区原1-22-26
提供料理
宮崎ロイヤルフィッシュのにぎり
宮崎ロイヤルフィッシュの刺身
宮崎ロイヤルフィッシュの竜田揚
松茸とロイヤルフィッシュの葛あんかけ

たくまんま (マスター・千葉拓朗)
TEL 092-483-3578
福岡市博多区博多駅前3-7-5-2F/3F
提供料理
燻ロイヤルフィッシュと生ハム、へべす風味のヴァルサミコスソースのサラダ
梅と大葉、トマトの冷しゃぶフルーツソースで

Title:フードスタジアム九州マニフェスト8カ条

福岡・九州の飲食店を訪れると強く感じることがある。

おそらく多くの人が思う九州らしい飲食店とは、素材感の高い料理をリーズナブルに提供するお店のことだろう。その印象そのままに、九州に出張したサラリーマンの多くは博多の夜、九州の新鮮な魚に舌鼓を打つ。あるいは「九州の代表的な料理は?」と質問した時に出てくる答えの多くは「もつ鍋」「とんこつラーメン」「チキン南蛮」「ちゃんぽん」など、大衆的な料理が殆どだろう。

九州の飲食店の多くは気さくで、温かみがあり、大衆的だ。

そして出てくる料理も気取らず、親しみやすい味の、リーズナブルな料理だ。

おそらく、多くの人はその大衆的な九州の料理と飲食店に魅力を感じている。

しかし、同時に飲食店側もその多くが「それで良い」と自らを規定してしまっている。

そこに、これから先の九州の飲食店を考えた時に大きな落とし穴がある気がしてならないのだ。

 

国土交通省観光局が内閣に提出し平成24年3月に閣議決定された「観光立国推進基本計画」というものをご存じだろうか?

そこには平成32年には国内への海外観光客数を2500万人にすることが明記されている。平成25年の国内への海外観光客数は約11000万人。つまりたった6年後におよそ2.3倍の観光客を国内に誘致する計画になっている。

その数字の実現性の是非はともかくとして、現在政府が国策として観光立国化を目指し海外からの観光客誘致のための施策を展開していることは事実だ。そしてその動きは九州とて例外ではなく、九州にある飲食店も、これから先ますます「外からの眼」にさらされることになる。

今年、ミシュラン福岡・佐賀版が刊行されたこともその1つだろう。そこでの星の与えられ方を見ると納得する部分と、納得できない部分の両方があったのではないだろうか?

その納得できない部分の多くは「自分たちの思う福岡・佐賀らしいお店」の基準から外れたお店に星が与えられた時ではないか?

同様の批判は過去にも東京・関西・北海道・広島と、ミシュランが発刊されるたびに起こっている。地元の人間からしたら納得できない選考基準ではないか?と。しかし、ミシュランはあくまでも「外からの視点」の1つであり、その視点からどういう店が選ばれたかは冷静に見る必要がある。

そして、今まで自分たちが規定していた九州らしさをもう一度見直す必要がある。「本当に自分たちの思う九州らしさがこれからも通用するのか?」と。

ここに書いていることは今までの九州の飲食店のあり方を否定しているわけではない。そこで生まれた九州らしさは、魅力の1つとして間違いなくある。

しかし、フードスタジアム九州はここから先もう一歩前に進んだ「新しい九州らしさ」の誕生を熱望する。

そして、人の動きがより国際的になり情報の垣根もすでに存在しないこれからの情勢の中で、国内外から九州を訪れる人にとっても九州に住む人にとっても「九州は素晴らしい!」といえる魅力を持った「新しい九州の食文化」の誕生をフードスタジアム九州は熱望する。

その誕生を促すためにフードスタジアム九州はここに創刊すると同時に、その活動のマニフェスト8カ条を公開する。

新しい九州の食文化を創造するために。

ここからフードスタジアム九州は活動を始める。

 

フードスタジアム九州編集長 島瀬武彦

マニフェスト


 

Title:【編集長レポート 第1回】FUKUOKA NOW!越境と融合と新しい福岡らしさ

●お客様の興味は今どこへあるのか?              

ぱっと見はオーセンティックバーのように見える「あら木」の店内

ぱっと見はオーセンティックバーのように見える「あら木」の店内



福岡市の人口は現在151万人。その中で飲食店の総数は約1万8千店と言われている。その数が多いか少ないかは分からない。しかし、確実に言えることはその全てが繁盛しているわけではないということ。いや、むしろ繁盛店と言える店はほんの一握りしかないだろう。

もちろん、繁盛店になることが飲食店を経営する目的ではない。しかしビジネス的にはお客様にどう喜んで頂き、どう来てもらえるか。そこに集中していかない限り利益は生まれないし、お店の経営は長続きしない。そして、お客様に喜んで頂くためには“今”のお客様が何に興味を持ち、何を楽しもうとしているかを知る必要がある。

フードスタジアム九州の記念すべき第1回の“FUTURE”(特集記事)は、今の福岡で際立った個性を発揮しているお店を紹介しながら、今の福岡のお客様達の興味がどこにあるのかをレポートしたいと思う。

 

●越境するジャンル。大名「あら木」

ソムリエでもあるオーナーの荒木剛氏。ワインのセレクトは全て自身で行う。

ソムリエでもあるオーナーの荒木剛氏。ワインのセレクトは全て自身で行う。



ここ最近、メディアを賑わすことの多い飲食店をピックアップすると、ある傾向が見えてくる。その傾向とは、まずジャンルの壁がどんどん取り払われているということ。

パッと見だけでは和食の店なのか洋食の店なのかが分からない。居酒屋なのかビストロなのかバルなのかが分からない。例えば西中洲にある「hub」というお店は、一流の料亭で料理長を務めた和食の職人が作る料理を、ソファーで食べる。しかも客単価は4000円台。居酒屋と言ってもいい価格帯で、居酒屋とは違う和食の技術の入った料理を、落ち着いた洋風の空間の中で提供する。

あるいは、これから紹介する「あら木」もそんなジャンルを越境したお店の1つだ。大名の真ん中、西通りから細い路地を入り込んだ建物の2階にある「あら木」は、大名と言いつつも立地は決して良いとは言えない。しかも、店内はパッと見はオーセンティックバーのような佇まい。しかし、この店はソムリエのいるワインのお店であり、同時に天ぷらの店でもある。このジャンルにとらわれないお店のあり方がお客様に支持されているのは「あら木」の食べログの点数が3.96という高い点数を維持していることからも伺える。

「あら木」のオープンは2009年。オープンして5年目の若い店と言える。

天ぷらとワインの組み合わせ。この日は「真鯛の燻製とカマンベールの天ぷら」(400円)をブルゴーニュ・シャドルネの白と合わせて

天ぷらとワインの組み合わせ。この日は「真鯛の燻製とカマンベールの天ぷら」(400円)をブルゴーニュ・シャドルネの白と合わせて



オーナーの荒木剛氏もまた若い。独立時はまだ29歳。その若い感性の中で荒木氏は最初から狙ってワインと天ぷらの店を作った。

「元々が独立志向でした」とは荒木氏。20代はフレンチレストランで修業した荒木氏だが、そのままフレンチのお店を作らなかったのは「他にないものを作りたかったから」と言う。「他にないものとは、まずは非日常的であること。そしてギャップがあること。料理に関しては日本人らしく箸で食べられて、季節感が表現できて、単品でもご提供ができ、もちろんワインに合うものを料理人と相談して考えました。その中で選んだのが天ぷらです」

お店としてのこだわりはまずはワイン。ワインを気軽に楽しんでもらうために、しっかりした味ではあるが決して高額にはならないワインをセレクト。ソムリエである荒木氏が選ぶワインは「味わいが上品で酸味が美しいこと」「ピュアなニュアンスがあること」を基準に選んでいる。

「イメージしたのは自分がポッと行ける店です。まずは自分が楽しいと思う店にしたかったのです。サービスする側としても自分が楽しくないと良い仕事にはならないですし。

誰もが圧倒される仁○加屋長介のメニュー板。しかもそこには値段が明記されていない。

誰もが圧倒される二○加屋長介のメニュー板。しかもそこには値段が明記されていない。



まずはこの店でお客様にはワインの気軽さや楽しさを感じて頂きたいと思っています。そこでお客様に楽しさを与えることが出来れば、それをきっかけにワインのことをもっと好きになる方が増えるのではないかと思っています」

「あら木」のお客様は30代から60代と年代の幅は広い。そして男女比も半々。特徴のない客層ともいえるが、中身は違う。「お店そのものを楽しんで頂けるお客様が『あら木』のお客様です」と荒木氏は言う。

若いからこそ生まれる自由な発想と、仕事を楽しみたいという気持ち。そしてそれに反応する自由な感性を持ったお客様。そこに今の福岡の市場の一面が表れている。

 

●業態の融合。薬院「二○加屋長介」

ジャンルの越境があるならば、当然ジャンルの融合もある。

遊び心あふれる店作りをする玉置康起氏。

遊び心あふれる店作りをする玉置康起氏。



次に紹介するのは福岡で“うどん居酒屋”という福岡独自の新しい業態を確立したと言われる「二○加屋長介」。

創業は2010年とまだ新しい店だが、すでに福岡では「この店あり」といわれる有名店と言って良い。

今年7月には「ブルータス」にも掲載され、ますます注目を集めているお店だ。

しかし、「二○加屋長介」のあり方を新しい業態という一言で括っても良いのだろうか?このお店には独自の遊び心が至る所に垣間見える。例えば店内に入ると最初に目につくのは天井に届かんばかりに設置されたメニュー板。その圧倒的な存在感に誰もが目を奪われる。しかもそのメニュー板には価格が一切書かれていない。そうここは「値段のない居酒屋」なのだ。

オーナーの玉置康起氏は福岡でも有名な定食屋の店長を務めた経歴を持っている。

仁○加屋長介人気の居酒屋メニュー。殆どのお客様が注文するという「雲仙ハムカツ」

二○加屋長介人気の居酒屋メニュー。殆どのお客様が注文するという「雲仙ハムカツ」



創業時の気持ちを玉置氏は「最初から居酒屋をするつもりでした。

定食屋にしなかったのは最後の切札として取って置くためです。もし居酒屋で失敗したら定食屋にすれば良い。それよりも、まずは面白い事をしたかったのです」と語ってくれた。

その“面白いこと”として選んだのが「うどん+居酒屋」という業態。元々福岡にはうどんを出しながら夜は居酒屋といううどん居酒屋の走りのようなお店が幾つもあるが、玉置氏はそれを先鋭化。

まずは「うどん屋のついでに居酒屋」という“ついで感”をなくし、居酒屋としても水準以上のクオリティをもったメニューを組み上げた。さらにうどん自体も通常のうどん屋よりも高いクオリティを意識し、全体をブラッシュアップ。そうして出来上がったのが「二○加屋長介」なのだ。

しかし、玉置氏の“面白いこと”はそれに留まらない。例えば立地。薬院駅から南に下って約500m。細い路地のさらに奥にある立地は、飲食店として良い立地とは言い難い。それでもその場所を玉置氏は「ここだ!と思って選んだ」と言う。

糸島産の地粉を使って手打ちで作る仁○加屋長介のこだわりのうどん。うどんのクオリティの高さも人気の秘訣。画像は「もつしょうゆうどん」(950円)

糸島産の地粉を使って手打ちで作る二○加屋長介のこだわりのうどん。うどんのクオリティの高さも人気の秘訣。画像は「もつしょうゆうどん」(950円)



さらには前述した値段のないメニュー板も、玉置氏にかかると「そんなお店他にないでしょう?」と。それだけを聞くと不親切に聞こえるかもしれないが、そうでもない。それは「二○加屋長介」の客単価が2000円台後半というリーズナブルさに表れている。

お客様が居酒屋に持つイメージを上手く利用しながらそれを覆す。

でも大事な所ではお客様のイメージに逆らわない。お客様と店側が信頼し合いながら遊んでいる。そんな印象が「二○加屋長介」にはある。

そんな遊び心を玉置氏は「面白いネタを“置く”のです」と表現する。ネタを置いておく。そして気がついたお客様と遊ぶ。

「うどん+居酒屋」という業態の融合は、そんな遊び心の中から生まれている。

そして、そんな遊び心を楽しむお客様達が福岡には沢山いるのだ。

 

●新しい福岡らしさ。渡辺通り「梅山鉄平食堂」

パッと見は定食屋には見えない梅山鉄平食堂の外観。デザインは梅山氏の奥様が担当。

パッと見は定食屋には見えない梅山鉄平食堂の外観。デザインは梅山氏の奥様が担当。



ここ最近、飲食店ウォッチャーと呼べるブロガー達に会うと、こぞって話題になるのが昨年から今年にかけての炉端開業ラッシュだ。警固の「百式」、高宮の「タキビヤ」、薬院の「氷炭」等々。その開業ラッシュは、炉端という業態を通じて“新しい福岡らしさ”の表現の確立を感じさせるものだ。

あるいはミシュラン福岡・佐賀で星付に選ばれたお店のラインナップをみると、そこで感じられるのが福岡の魚という素材の評価だ。その評価をミシュランに指摘される前にすでにカジュアルラインの業態に落とし込んでいるのが新しい炉端の店達かもしれない。

ここで最後に紹介するのも、そんな新しい福岡らしさを意図的に定食屋という業態に落し込んだ「梅山鉄平食堂」だ。

西鉄福岡駅から渡辺通りに入って約200m。桜十字病院横の細い路地に入ると、一見カフェのような佇まいの定食屋が目につく。店に入るとやはりカフェのようなナチュラル感のあるおしゃれな空間。そこが定食屋だとはメニューを見ないと分からない。しかし、メニューを見ると、その硬派な内容に驚く。

話をするだけで“福岡LOVE”が伝わる、梅山鉄平氏。

話をするだけで“福岡LOVE”が伝わる、梅山鉄平氏。



毎日日替わりで更新されるという定食メニューはアイテム数約70。さらに魚をメインにした定食の数はその内50種。魚は全て産地が明記してあり、メニューを通してもその素材感の高さが伺われる。定食屋というよりは炉端の店のようなメニュー内容である。

オーナーは梅山鉄平氏。創業は2009年。18坪26席という小さなお店だが月商は800万。客単価1000円前後の定食屋としては驚異的な売上と言って良い。

梅山氏は福岡の老舗定食屋で修業の後、魚屋での経験も合わせて「梅山鉄平食堂」を開業。開業時に強く意識したのは「自分がやるからには福岡らしいお店にしたかった」ということ。「福岡らしさというと色々ありますが、まずは素材面で言えば魚です。地元福岡だからこそ仕入れられる良い魚にこだわりました」

開業してしばらくは1000円前後という定食屋としては高い単価設定に苦戦したが、徐々に認知が広がると共に、素材に対するこだわりが伝わり、今では地元のお客様ばかりではなく全国からお客様が口コミで来店される超繁盛店に成長。

仕入れにより毎日変わる魚を使った定食メニュー。取材当日チョイスして下さったのは「鐘崎・極上メバル一尾煮付け定食」(1480円)

仕入れにより毎日変わる魚を使った定食メニュー。取材当日チョイスして下さったのは「鐘崎・極上メバル一尾煮付け定食」(1480円)



地元のお客様に評価され、その評価から福岡外のお客様に評価される、ある意味理想的な集客を実現している。

その梅山氏のお話を聞きながら感じるのは、梅山氏自身が“福岡LOVE”なんだということ。あるいはそれは梅山氏だけではなく多くの福岡のお客様に共通する要素かもしれない。

梅山氏は、自身の思う福岡らしさをこう表現してくれた。「福岡は人が多い街ですが、それでもミニマムにまとまっているところが良さだと思います。だから温かい街なのです。そして地元意識の強いのも福岡の人の特徴かもしれません」

「梅山鉄平食堂」もまた、その地元意識の強さをメリットに転化し、福岡のお客様達が望む“今”の福岡の良さを表現した店だからこそ、ここまで受け入れられたと言えるだろう。

今の福岡を愛するお客様に響く要素が詰まっている店。それが「梅山鉄平食堂」なのだ。

 

●“今”の福岡と“これから”の福岡

このレポートは“越境”と“融合”と“新しい福岡らしさ”をキーワードに、 今のお客様が望む飲食店がどのようなものであるかを明らかにしてきた。

それはジャンルにとらわれない自由さや遊び心を持った店であり、福岡のお客様が望む新しい表現での福岡らしさがあるお店などだ。

しかし、それらは全て“今”であって“これから”ではないことを最後に押さえておきたい。

ネットの発達した情報社会にあって、今のお客様はどんどん進化している。その進化は5年10年というスパンではなく、1年もしくは半年という極めて短いスパンで起こっている。その中にあってこれからのお客様はどんなことに興味を持ち、どんな飲食店を望むのか?あるいはこれからの飲食店は、進化するお客様にどう対応してどう自らも進化していくのか?

これから求められるのは新しい飲食店だ。それがどんな姿になるのか?

その新しい飲食店を作るための情報を、フードスタジアム九州はこれから発信していきたいと思う。

 

(島瀬武彦)

 

 




取材協力店

店名・ワインサロン あら木
住所・福岡県福岡市中央区大名1-13-12 大名ことうビル 2F
TEL・092-725-5020
営業時間・18:00~翌2:00(L.O.)
客席数・15席

店名・二○加屋長介
住所・福岡県福岡市中央区薬院3-7-1
TEL・092-526-6500
営業時間・16:00~翌2:00(L.O)
客席数・24席

店名・梅山鉄平食堂
住所・福岡県福岡市中央区渡辺通3-6-1
TEL・092-715-2344
営業時間・昼の部 11:30~15:30(ご入店時間) 夜の部 17:00~22:30(ご入店時間)
客席数・26席

 

 


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